新井みりんによる神坂一作品の個人ファンサイト。

融合!?

〜空中散歩?〜

 ──えっ!? うっ……うわああああぁぁぁ!

 そんな悲鳴をあげてからはや数日。
 リナさん……なんて遠くの存在に感じるんでしょう……。
 僕は空間転移もできず、いやに重い身体で空中をゆっくりと進んでいました。
 ──簡単な能力は使えるものの……いつもの半分もでませんね。
 精神世界面に戻ることもできないから、獣王様に助けを乞うこともできませんし……
 助けて下さい……リナさん。



〜危険な語尾〜

 運命のあの日からはや十日が過ぎ、やっとリナさんのそばまで来れました……
 はるか下を歩く二人の人間の少し前に着地すると──いつもとは違う反応をした。
「──あんたまさかっ! 中間管理職が嫌だからって動物擁護団体の手先にっ!?」
 栗色の髪をした女魔道士──リナさんは、なんだかよくわからないことを言いながら大げさなリアクションをした。
「……一体なんの用だ。ゼロス……ぶふっ」
 金髪長身の剣士──ガウリイさんは笑いをこらえつつも僕にだけわかるように殺気を放っている。

「──リニャさぁぁぁん! 助けて下さいにゃあ〜!!」
 長いしっぽを揺らし、僕は泣き付いた。

 しばらく会話になりませんでした。

「……つ、つまり、あんたが具現しようとしたところにちょうど猫がいて、ミョーなふうにくっついちゃったから助けてくれ……って?」
 お腹をおさえ涙をぬぐいつつ、まだ笑いの収まらないリナさんは言った。
「そうにゃんです。
 これじゃあ獣王様に頼まれたおつかいにもいくことができにゃいんですにゃあー!」
「──その語尾はどうにかならんのか」
 冷ややかな視線を向けながらガウリイさんは言った。
「どうにかなるくらいならこんな語尾つけてませんにゃあ〜!!」



〜決戦前夜?〜

 結局──リナさんを見つけても、どうにもなりませんでした。
 交換条件で充分すぎる代価を支払ったので、リナさんがとても協力的なのはいいんですが……
 いまだ頭の上にぴくぴくネコミミ、手にはぷにぷに肉球。お尻からはふさふさしっぽ。
 精霊魔法で猫の部分をどうにかしようとしても、混ざった僕の魔族としての能力がそれを護ってしまいます。
 もちろん僕を滅ぼされてはたまりませんから、メチャなことはできません。
 ──しかも──
「ゼ・ロ・スっほらほら♪」
「……うっ」
 ぴこぴこぴこっ
「…………にゃにゃあにゃあ〜!」
 うう……どうしてもあの“猫じゃらし”に興味が惹かれます! ああっ遊びたいっ!!
「──おいリナ、いいかげんなんとかならんのか」
 僕がリナさんの振るう猫じゃらしに夢中になっているとき、不機嫌にぶーたれたガウリイさんが言った。
「うーん……精霊魔法が効かないってことはわかったから、あとは黒魔法くらいしかないんだけど……」
 ぴこぴこ猫じゃらしを振りながら、リナさんが言った。
「じゃあそれを試してみればいいじゃないか」
「──精霊魔法を試す前にも言ったけど、それで猫ちゃんがもし死んじゃったら、寝覚めが悪いじゃない?」
 ゆううつそうにそう言うと、リナさんはやっと猫じゃらしを振るのを止めた。
「……はぁ……はぁ……
 精霊魔法が効果がなかったんです、白魔法の浄化呪文では意味が無いんですから……やりましょう、リナさん」
 僕は額の汗を拭うと、息を切らしながら言った。
「──しかたない……か」
 やはりリナさんはゆううつそうに言った。



〜勝負!〜

「……じゃあ……塵化滅!」
 魔族ほどではないとはいえ、生命力の強いヴァンパイアさえも塵と化すその呪文は、僕に直撃した──
「──駄目ですにゃあ」
 僕がため息をつきながらそう言うと、リナさんはどこか安心したようだった。

 ──黄昏よりも昏きもの
 血の流れより紅きもの
 時の流れに埋もれし
 偉大な汝の名において
 我ここに 闇に誓わん
 我等が前に立ち塞がりし
 すべての愚かなるものに
 我と汝の力もて
 等しく滅びを与えんことを──

「竜破斬!」
 赤光が僕に収束し、竜族さえも一撃で消し去る大爆発が起こる──
 はずでした。
 ヒュウウ
 虚しい音だけを残し、術は発動しませんでした。
「……をっ! どうしたんだリナ?」
「──ゼロス!! あんた竜破斬くらうのが嫌で打ち消したわねっ!?」
 妙にのんびりしているガウリイさんとは対照的にリナさんは憤慨した。



〜大団円?〜

「ちっ違いますにゃあ。誰かが精神世界面から干渉して、竜破斬の効果を最大限抑えた──」
「──一体こんなところで何をしている」
 声と同時に姿を現したのは、金髪で美しい女性でした。
「にゃあああっ!? じっ、獣王様!」
「何をしていると聞いている」
 高圧的な態度で同じことを繰り返す獣王様。
「にゃにゃにゃっ、ええとあの物質世界に具現化したらそこに猫がいてへんなふうにくっついちゃって……」
 必死に弁明する。
「──それでケーキはどうしたのだ」
「いやそれがあのキュリアン・タウンまではちょっと遠くて」
「ケーキは?」
「…………まだ買えてませんにゃあ」
 言葉と同時に耳としっぽが垂れる。
 ぱちり
 獣王様が指を鳴らすと、僕を困らせていたネコミミがなくなり、獣王様の腕の中に猫が現れる。
 不思議な感覚とともに、力が戻ってくる。
「あ……ありがとうございます」
 ですが、獣王様は予想以上にお怒りだったようです。
「罰だ」
 ぱちり
 もう一度指を鳴らすと──何も起こって……あっ!
「にゃあああああああっ!!」
 ぼっ僕の耳がまたネコミミとなり、手には肉球、お尻からはしっぽがまた生えています。
「ゼロスよ、海王も待っている。
 ……すぐケーキを買ってこい」
 すると獣王様は腕の中に猫を抱いたまま、溶けるように消えた。

 あとには、笑いころげるリナさんとガウリイさん、そしてショックで立ち上がれない僕が残されていました。



────あとがき────
2013/12若干の加筆修正。
オススメなのは、猫じゃらし後の『ああっ遊びたい!!』と、最後の○| ̄|_ 状態のゼロス(w
神坂先生とあらいずみ先生が猫教の信者だから、リナもネコ派だと思うの。そんな自分は馬派。


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いつかはやってみたい企画

仲良しメンバーで集まって、スレイヤーズカラオケやってみたい。
でもスレイヤーズ以外も歌いたいから結局アニソンカラオケ。