fortuna
「……リナーっ!!」
「っとにもー。遅いわよ!? 一体何人のナンパ野郎を追い払ったと思ってるの?」
『──明けましておめでとう』
十分少々遅刻したガウリイを少し咎めると、二人はどちらともなく新年の挨拶を交わした。
「……今年もよろしくね」
「おう、オレは今年も来年も再来年も、ずっとよろしくな!」
「──! ばかっ……」
紅色の古典柄の振袖に金色の帯、大判のストールを羽織り、金色の牡丹の髪飾りがよく似合う。
──着物に合わせてなのだろう。いつもとは違い濃いピンクのアイシャドウと艶やかなグロスをつけたリナに、大人びた印象をうける。
三が日の浅草の混み具合はヤバい。二人ははぐれないようにしっかりと手をつなぐと、ガウリイが先を先導するようにして振袖のリナを気遣う。
「わざわざ振袖でくるんじゃなかった……きゃ!?」
「──っとぉ」
人の足にでもつまづいたか、リナがつんのめってバランスを崩すと、すかさずガウリイが支える。
……人ごみのど真ん中で、抱き合うような状態の自分たちにリナは思わず顔を赤らめた。
「あ、ありがと」
「どういたしまして」
長蛇どころではない列を待ち、最前列までやってきた二人。
二礼 二拍手 一礼
「………………」
「(受験合格・無病息災・家内安全・金運上昇……とにかく金運! …………あと……心願成就)」
「──あっ、おみくじ引きたい!」
「よし、やろうぜ」
スッ
「あたしは十六番」
「オレは九番だ」
「やったあ! だっいきち〜☆」
「──げぇ、オレ凶かよー……」
「あら、いいじゃない。あたしは好きよ? 凶」
リナはいたずらっぽく笑ってみせた。
「えーっ……なんでだよ?」
「凶は、困ったことにならないように注意して。って教えてくれてるんだもん。
あたしの大吉は、いいことがあるから見落とさないでねってことよ」
「……そうか、ならリナと一緒にいればいいことずくめだな!」
ガウリイは改めてリナの手をギュッと握った。僅かなあいだに、小さな手は冷たくなっていた。
「あっ! 芋ようかん!! ガウリイ、行こっ」
「オレも食うぞー!」
「ゼルとアメリアとの待ち合わせにはまだ時間があるけど……あの店やってるかなぁ?」
「──お、いつだかのシチューの店か!?」
「そうそう……って、よく覚えてたわね」
ここ浅草にはリナのお気に入りのレトロな雰囲気の洋食店がある。シチューとハンバーグとフライがうまかった。
「──まあ、もし空いてなかったら新しい店でも開拓しようぜ!」
「そうね♪ じゃあとりあえず、レッツゴー!」
二人は足取りも軽やかに、並んで歩き始めた。
────あとがき────
タイトルは幸運の女神の名前。幸運の女神といえばGS美神を思い出す。「不幸になれー!!」だっけ?
リナの振袖のモデルは私自身の振袖。古典柄の赤と黒のグラデーションの振袖。髪飾りも同様。
浅草に芋ようかん某店、洋食の店●●●は実在しますが、一切関係はございません。
っていうか、●●寺。あそこ大吉あるのか?凶しか出たことないよ……orz
そしてガウ兄さんは何を願ったんでしょうかね?リナちゃんの心願成就はなんでしょうね〜/笑
リナさん高校三年生の設定で書いてみました。突然思い浮かんだ。お正月ですから。
