新井みりんによる神坂一作品の個人ファンサイト。

ばあちゃん

「……お父さん、どこへいくの?」
 ガウリイとエルディオは、『滅びの砂漠』内にいた。
 といっても、ここはもともとガブリエフ家の小麦畑があったところで、砂漠の侵食をうけて新しく砂漠になってしまったところだ。

「──あそこだ」
 砂漠内にぽつんと小さな家が建っている。
「えー、あんなところに人が住んでるの?」
 近づくと、ここの井戸までは枯れていないようで少しばかり草が生えているし、ずいぶんと綺麗にしてあるようだ。
「……お前のひいばあちゃんだ。剣も教えてくれるし、良くしてくれるはずだ」
「ばあちゃんに剣術出来るのか?」
「ああ、俺よりも──」
「──待ってたよ」
 ドアの前に着くか着かないか、というところで自らドアを開けて現れたのは……金髪碧眼の身奇麗にしたおばあさんだった。
 御年八十三になる老人とは思えないほどしっかりした足取り。少し艶の衰えた金髪をひとつに束ね、魔道士が着るようなローブに身を包んでいる。
「あんたのひいばあちゃんのエミリア=ガブリエフだよ、よく来たね」
「金髪……金髪のばあちゃんだ! オレはガウリイ! よろしくな!!」
 自分と同じ金髪であることに驚いたが、気に入ったようだ。ガウリイは子供らしい元気な挨拶をした。

 エミリアは二人を招き入れ、荷を降ろさせると、ガウリイを外の井戸へと水汲みへ行かせた。
「……あんたがここに来るのは何年ぶりだい、ええ?」
「ばあさまが父さんに家督を譲って以来だから、もう三十五年になる」
 エミリアは、その超人的な体力で四十八まで城の剣術指南役を務めていたが、ある日突然、息子に家督を譲ってこのような辺境にやってきたのだ。
「城はどうだい?」
「……光の剣士の末裔でも──金髪じゃない、光の剣すらない男には辛いところさ」
 エルディオは自重めいたようにかるく笑った。
「それは……大ばあさまの遺言だからね。いくら可愛い孫でも、光の剣を渡すことはできない」
「ばあさま、あいつを……ガウリイを鍛えてやってくれないか」
 エルディオは、若干言いごもりつつも本題を切り出した。
「ふんっ、急に使用人をよこして、噂に聞いた金髪の子を連れて現れたと思ったら……やっぱりそういうことかい」
「ガウリイは、ばあさまを除いて一族で唯一の光の剣の後継者だ。今家でちょっと問題が起きていて、だから──」
「──わかったよ」
 やれやれ、といったふうにエミリアは承諾した。
「孫の頼みだ、あたしが死ぬまでには超一流の剣士にしてやるよ」
 言ってエミリアがかわいらしくウインクをすると、カランカランとドアにつけてあるベルが軽やかな音をたてた。
「よいしょ、よいしょ、お水汲んできたぜー」
「じゃあ……俺はこれで」
「ああ、次に会う時までにはもうちょっとしっかりしてきな」
「──ちっ、いつまでも孫扱いかよ」
「そりゃそうさ、子供が生まれても、あんたはあたしの孫なんだからね」
 エルディオは席を立つと、バケツいっぱいに水を汲んできたガウリイの頭をくしゃっと撫でた。
「ははっ、そりゃそうだ──ガウリイ、ばあさまに習って、超一流の剣士になれ。俺よりも強い剣士に……な」
「うん! オレ、世界一の剣士になるんだ!!」
「──じゃあな」


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いつかはやってみたい企画

仲良しメンバーで集まって、スレイヤーズカラオケやってみたい。
でもスレイヤーズ以外も歌いたいから結局アニソンカラオケ。