新井みりんによる神坂一作品の個人ファンサイト。

操り人形

「おまえ……リエッタかい!?」
「兄貴──!」
 エミリアとガウリイは同時に声をあげた。
「おれの光の剣をはやく出せ! さもないとお前らもこうだぞ!」
 おそらくこれを振り回して家を破壊したのだろう。エルメキア軍支給の長剣を振り回して言った。
「そうだよ! バルディは仕官してこの年で部隊長にまでなったんだ、老いぼれババアと脳なしのガキなんて目じゃないさ!」
 リエッタの瞳には……狂気が宿っている。会話はできそうにもない。
「そうかい……ならあたしが」
「──オレが相手になってやる! 表に出ろ!」
 珍しくガウリイが吠えた。さすがのガウリイも、これには頭に血が上ったようだ。

「ハッハッハァ、由緒あるガブリエフ家にいながら、エルメキア軍に士官もせずのうのうとこんなところで暮らしていたガキに、バルディが負けるわけないじゃない!!」
「……ガキかどうか」
「見てのお楽しみだよ」
 ガウリイの言葉を遮ってエミリアが不気味に笑った。

 バルディが先ほどの長剣を片手で構え、ガウリイへと向けた。
「──光の剣をよこせ。今ならまだ許してやる」
「光の剣はエミィばあちゃんのものだ……兄貴には渡せない」
「──ガウリイ! これを使いな!!」
 ヒュンッ
「これは……?」
 ずいぶんと使い込まれた長剣のようだ。特徴的な柄をしている。
「──光の剣か!?」
 すらり
「大切なあたしの相棒さね……あんたと同じで素直ないい剣だよ」
「覚悟は出来たか? ガウリイ」
「……さあね」
 ガウリイは両手で正眼に構え、兄と向かい合った。

「──っはあ!」
 ぎっ きぃん ぎちっ
「くうっ!?」
 ……戦いは一方的であった。
 軍で訓練を受けた兄と、一流の剣士に師事しているとはいえ──実戦は素人の弟。
「ハハハァ、そんなままごと剣術で、軍人に敵うわけがないわ! バルディ! とどめを刺しなさい!!」
「……ガウリイ! 相手が兄だからといって躊躇していると、死ぬのはあんただよ! 殺せとは言わないから動けない程度にしてやれ!」
「ふんっ。そんなこと、できるわけが──」
 どんっ
 ガウリイは身当てをして体制を崩させると、腱や関節を狙って攻撃を始めた。
「ぐおっ!?」
 死を前にして、躊躇を捨てたガウリイは強かった。
 まるで流星のごとく目にも止まらぬ疾さで攻撃に転じたガウリイにバルディは刃も立たず……膝まづいた。
「──何で負けるんだ! バルディは軍で剣術を学んできたのにっ!?」
「光の剣……おれのものになるはずだったのに……どうして……」
 予定と違った結果となり、ますますおかしくなるリエッタと、呆然と座り込んでしまったバルディを尻目に、なんとか寝れる程度に家を片付けた。

「……すまないねぇ……すまない……」
「いいんだ、エミィばあちゃんが悪いんじゃない。悪いのはきっと光の剣だ」
 自分の孫とひ孫に家を破壊しつくされ、すっかり気落ちしてしまったエミリアを、ガウリイはずっと慰め続けた。


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いつかはやってみたい企画

仲良しメンバーで集まって、スレイヤーズカラオケやってみたい。
でもスレイヤーズ以外も歌いたいから結局アニソンカラオケ。