Prolog
伝説があった……
偉大な魔道士の伝説が……
巨大な魔力を内に秘め……
強きをくじき……
弱きもくじく!!
盗賊殺し!! 漆黒の魔女!! ドラゴンもまたいで通る!! 魔法おたく!! どけち!! 根性悪!!
数々の二つ名を
ほしいままにした大魔道士
その名は!!
リナ=インバース
》START《
しんとした森のなか、一人の少女が倒れている。
見たところ怪我はなく、衣服もきちんと着ている。イヤリングや腰に下げたショートソードもそのままであることから、盗賊や追い剥ぎに襲われたのではないらしい。
「──誰か倒れてる!」
ちょうど森に日課の薪拾いにきた男は偶然見つけた少女の周りをぐるり、とまわりながらまじまじと見つめた。
栗色の長い髪に、長いマントの魔道士ルック。そしてうつぶせでもなんとなくわかる──やたら平坦な胸。
「あっ!! こいつはひょっとして……とりあえず村へ運ぼう!」
そういうと男は、倒れている少女を背負うようにして、村まで引きずっていった……
「やっぱり──まちがいない!」
男は連れてきた村に一つしかない宿屋に少女を預けると、村長の家へと走った。
その家では今の男を含めて男二人と女、それと老人が小さなダイニングテーブルで顔を付き合わせて話し込んでいた。
男「──やっぱりまちがいない! 言った通りだろ! あの魔道士リナ=インバースだろ!?」
鼻息荒く、男は今確認してきた少女のものと思われる名前を叫んでいた。
女「じゃあ……あのゴブリンとヒドラ、どうにかしてもらえないかしら!?」
老人「──死ぬほどとられるぞ、礼金を!」
男「うちの村のどこにそんな金があるんですか!?」
男「かりに引き受けてくれても礼が出せない──なんて言ったら、村ごと吹き飛ばされちまうぜ」
女「……ゴブリンの住処へ通じる穴まで連れて行って、落としちゃうっていうのはどう?」
老人「そうじゃな。言いわけは後で何とでもなるじゃろう」
男「本当にだいじょうぶかなぁ……」
──この提案が間違いであったとすぐ後悔することになるとは、村人たちはまだ知らないのであった──
